2009年8月アーカイブ

恵那栗について 2

栗の毬がどんどん成長する夏期、栗農家ではただ収穫の日を待っているわけではありません。次々に生える下草の手入れや、虫や病気のチェック。そして、暑い中、なにより大変な作業が「夏期剪定」の作業があります。今年の栗の実が付いている枝以外の枝を、来年の収穫のためにばっさり切り落とします。この技術が、次の年の栗の出来映えに大きく影響するのです。

恵那地域の栗農家には、超低樹高栽培の技術を習得した「剪定士」がたくさんいます。そしてどんどん増えています。「夏は暑いから収穫が終わって少し涼しくなった頃に」なんて言っていられません。今の時期の枝払いが肝心なのです。炎天下の栗畑で、来年のおいしい栗を夢見て、今日も夏の剪定作業に勤しんでくださっています。恵那栗がおいしい秘密は、農家の方の労力のなかに隠されています。おいしい秘密はまだまだ沢山ありますので、また、紹介していきます。

ご自身でも広い畑で栗や果樹を栽培されている栗博士 塚本實先生

(ご自身でも広い畑で栗や果樹を栽培されている栗博士 塚本實先生)

栗最中冷菓 くりもなかあいす

恵那川上屋 本社恵那峡店「里の菓茶房」限定販売の「恵那栗のソフトクリーム」は、常に人気商品。旅行者の方も、ここに来て食べるのを楽しみにしてくださっているほどです。

人気の秘密は、口どけのなめらかさ。ソフトクリームの生地に加える裏ごしした栗のペーストを、手間をかけて極限まで細かく裏ごししました。コクがあり、栗の風味もいっぱいです。

その恵那栗のソフトクリームを、遠方の方にも是非味わっていただきたいと開発したのがこの「栗最中冷菓」です。パリッと香ばしく焼き上げた最中皮に、風味そのままのソフトクリームの生地を閉じ込めました。この栗最中冷菓で充分、堪能していただけますが、栗のシーズンには是非、店頭にお越しいただいて、恵那栗のソフトクリームをお召し上がりください。

毬の中に仲良く2つ並ぶ栗の実を形どりました。

(毬の中に仲良く2つ並ぶ栗の実を形どりました)

恵那の栗畑から 2

9月上旬の早生(わせー早い時期に収穫される品種)の自然落下を控えて、恵那山麓の栗畑では、たわわに実った毬が栗の木の枝をいよいよしならせています。

栗博士の塚本實先生に今年の出来映えを伺ったところ「6月の開花とともによく晴れて、受粉の状態はまずまず。これから8月下旬にかけての日照時間の長さが、最終的な味や品質を左右します」ということでした。

自然の恵みのなかで育つ恵那栗は、当然自然のままに日照時間や降水量の影響を受け、その年の収穫の量や実の質が天候に影響されます。

超低樹高栽培のおかげで効率よく太陽光線が吸収でき、万が一、日照時間が少なくても安定した収穫量が望める恵那栗とはいえ、おいしい栗にはお日様の光がとても肝心です。これからの空模様がとても気になるところです。よく晴れますように。

 

成熟していよいよ大きくなった栗の毬

(成熟していよいよ大きくなった栗の毬)

渋皮煮

恵那川上屋の契約農家のなかでも「中津川栗振興会」には女性部があり、栗栽培の情報交換はもちろん、栗を使った料理やお菓子などの研究をされています。当社も長い間栗のお菓子をつくり続けていますが、実際に栽培されている方々にはかないません。家庭で少量、愛情込めてつくられる、おかあさん、おばあちゃんの味は本当においしく、私たち職人にとっても勉強になることばかりです。

 超特選恵那栗のなかでも、ひときわ大きく甘みが強い品種「利平」を渋皮のまま砂糖で煮た「渋皮煮」は、この女性部の皆さんに開発に携わっていただいたお菓子です。利平はとても上質な品種ですが、収穫量が少ない貴重な品種です。家庭に伝統的に伝わった甘露煮の風味をぜひお楽しみください。

渋皮煮

(大粒で稀少な品種「利平」の渋皮煮)

栗の豆知識 3

日本では、石器時代の遺跡から炭化した栗が見つかったことで、数千年も前から栗を食べていたことがわかります。野生の栗は、現在日本で栽培されているものより小粒で甘みが強いですが、収穫量が多くありません。砂糖やお菓子などがなかったその頃は、甘くて栄養のある貴重な食べ物だったと考えられます。栗の実だけでなく、木材も家屋や祭祀用の建物などに利用されました。栗の実や木は神聖な場所やお供え物にも使われていたことがわかっています。

 戦国時代には、栗の栄養価や縁起のよさに武将が目を留め、栽培を奨励し干した栗を「かちぐり」として兵士達に持たせ、士気を高めました。このように栗は、太古の昔から日本人の愛する食べ物として親しまれてきたのです。

縁起を担いで食べられた保存食「かちぐり」

(縁起を担いで食べられた保存食「かちぐり」)

栗の豆知識2

栗は、ブナ科の落葉樹。農園の樹木は「剪定」といって、枝を払うために樹高が低いですが、そのまま放置しておくと7〜8mにも育つ高木です。6月頃、独特のにおいを放つ細長い花を付け、果実は「いが」で包まれているのが特徴です。木材は耐久性や耐湿性に富み建物の土台などに使われます。

 「いが」の中には、通常2〜3個の栗の果実があり、果実は堅い外果皮(鬼側)で包まれていて、その下には種皮(渋皮)があります。お菓子にするためにこれらの種皮を取り去ることはとても大変な作業で、それだけに栗のお菓子は、ありがたく、おいしくいただけます。恵那川上屋では中身をくりぬいた後の種皮を、肥料にして土に還したり、染色に活用できるように開発を進めています。

栗の外観・断面

(栗の外観・断面)

 

栗きんとん <恵那栗>

恵那山の麓の栗畑で育てられた栗の中でも、厳しい栽培基準をクリアした「超特選恵那栗」を素材に、少量の砂糖だけを加えて仕上げた銘菓「栗きんとん」です。

 この地方は山間部で、昔から自然に生育した山栗が収穫されていました。そのまま焼き栗、蒸し栗、おこわなどに使われてきましたが、家庭でも砂糖が利用されるようになると、砂糖を加えたお菓子が工夫され、その中から生まれたのがきんとんです。蒸した栗の中身をくりぬき、適量の砂糖を加えながらさらに炊き、炊きあがった生地を布巾で絞った形が特徴です。

 砂糖の量が多すぎても少なすぎても栗の風味が引き立ちません。絶妙な分量が工夫されています。

素朴な山里の伝統菓子「栗きんとん -恵那栗- 」

(素朴な山里の伝統菓子「栗きんとん -恵那栗- 」)